はじめに
CAPA(Corrective Action and Preventive Action:是正処置・予防処置)は、GMP・HACCP・ISO9001・ISO13485 のいずれの規格でも要求される根幹活動です。しかし「クレームが起きたら CAPA を起票して終わり」になっている運用は珍しくありません。本コラムでは、CAPA を実効性のある活動として回す3要素を整理します。
要素1:是正処置は「真の原因」まで掘る(応急処置で止めない)
CAPA でよくある失敗は、不適合に対する「応急処置」を「是正処置」と勘違いすることです。例えば「不良品が顧客に流出した→該当ロット全数回収」は応急処置であり、是正処置ではありません。是正処置は「同じ原因による再発を防ぐ仕組み変更」を指します。
対策は、なぜなぜ分析(5回問う)で「真の原因」を特定することです。「検査員が見落とした」は表層原因、「検査基準書が更新されていなかった」は中間原因、「基準書改訂のレビュープロセスが定義されていなかった」が真の原因、というように掘り下げます。是正処置は真の原因に対する仕組み変更(プロセスの追加・文書の改訂・教育の追加)として記述します。
要素2:予防処置は「他工程・他製品への波及」を見る
予防処置(Preventive Action)は、是正処置と混同されがちですが別概念です。是正処置が「発生した不適合の再発防止」であるのに対し、予防処置は「まだ発生していない潜在不適合の事前防止」を指します。
対策は、是正処置を完了した直後に「この真の原因は、他工程・他製品でも起こり得るか?」を必ず議論することです。検査基準書の改訂レビュープロセスが欠落していた、という真の原因が見つかったなら、他の全文書(作業手順書/教育資料/検査記録様式)にも同じ欠落がないかを横展開で点検します。横展開の結果として実施する仕組み追加が「予防処置」になります。
要素3:有効性確認は「30/60/90日」のタイミングで実施する
CAPA を起票して仕組みを変えても、その仕組みが期待通り機能しているかを確認しなければ、形骸化のリスクが残ります。ISO9001 10.2.1(f)・GMP(FDA 21 CFR 820.100(a)(4))でも「処置の有効性を検証」が明示要求されています。
対策は、有効性確認を 30 日・60 日・90 日の3点で実施することです。30 日で「仕組みが導入されたか」、60 日で「運用されているか」、90 日で「期待効果が出ているか」を順に確認します。90 日時点で効果が出ていなければ、CAPA を再起票して別の対策を講じます。3 回繰り返しても効果が出ない場合は、原因分析自体に誤りがある可能性が高いため、根本から見直します。
CAPA運用は「件数」より「クロージング率」「再発率」で評価する
CAPA運用の KPI を「年間起票件数」だけで管理すると、起票を避ける動機が生まれ、隠蔽の温床になります。代わりに「90 日クロージング率」「同一原因再発率」「予防処置発火率(是正→予防への横展開率)」を月次でモニタリングします。
品質カレッジでできること
品質カレッジは、CAPA 運用の標準テンプレ(起票書/なぜなぜ分析シート/横展開チェック/有効性確認 30/60/90 日記録)を教育訓練記録キットに同梱しており、契約前から無料でご利用いただけます。
「不適合管理/CAPA/なぜなぜ分析」の各テーマは品質カレッジ内のコースで動画と確認テストで学べます。GMP・HACCP 対応企業向けには、規格固有の CAPA 要求(21 CFR 820.100 等)にも触れたコースを整備しています。
品質カレッジで「教育の仕組み化」を始める
品質カレッジは、49コース・確認テスト約11,400問を年33000円(税込/1ID)でご利用いただける、製造業向けの品質教育eラーニングです。視聴履歴・教育訓練記録・修了証発行までを1つのLMSで管理できます。