はじめに
ISO9001:2015 箇条7.2「力量」は、外部監査で最も指摘を受けやすい箇条のひとつです。要求は「①必要な力量を決定、②力量を保証する処置、③力量の証拠を維持」の3点ですが、現場で実際に揃えると意外と漏れが出ます。本コラムでは、外部監査で「重大指摘の予防」を狙う3つの実務を整理します。
実務1:必要な力量を「業務×階層」で定義する
「力量を決定する」と言われても、何を書けばよいか分からない、という現場は多くあります。よくある失敗は、力量一覧が「ISO9001、HACCP、フォークリフト」のような資格名の羅列で終わっていることです。これは ISO 監査員からすると「業務に対する必要力量が定義されていない」と判断され、指摘対象になります。
対策は、業務(製造/検査/QA/購買)と階層(新人/一人前/指導者)の2軸マトリクスで定義することです。各セルに「読図/計測機器操作/品質記録の作成/検査基準の判定」など、業務遂行に必要な技能を具体的に書きます。資格名は技能の根拠として補足する位置づけにします。
実務2:力量の獲得は「教育+OJT+テスト」で証跡を残す
「力量を保証する処置」とは、必要な力量が無い人に対する教育・訓練・配置転換等の活動です。これも証跡が薄いと指摘されます。教育記録に「受講した」とだけ書いてあっても、ISO 監査員は「受講で力量が獲得された証拠は?」を求めます。
対策は、教育(座学/動画)→OJT(現場実技)→確認テスト(4択80%合格)の3段で証跡を残すことです。3段すべてに日付・氏名・実施者・結果を記録します。確認テストの合格点と合格者名簿が揃っていれば、ISO 監査員は「力量が獲得された客観的証拠」として受け入れます。
実務3:力量の有効性を「年1回」評価する
ISO9001 7.2(c)「処置の有効性の評価」は、新規導入企業が最も見落としがちな項目です。教育を実施しても、その教育が実際に業務改善に繋がったかを評価していない場合、不適合の指摘を受けます。
対策は、年1回(年度末推奨)に有効性評価を実施することです。評価軸は「クレーム件数の減少/不具合発生率の減少/監査指摘件数の減少/作業時間短縮」など、教育目的に対応する数値指標を設定します。評価結果はマネジメントレビューのインプットとして経営層に報告し、次年度の教育計画に反映する流れを作ります。
外部監査の3か月前までに整備しましょう
ISO9001 力量管理の整備には、力量マトリクス作成に2週間、教育記録テンプレ整備に2週間、有効性評価運用に2か月の合計3か月を見込みます。外部監査の3か月前までに着手すれば、初回審査でも更新審査でも重大指摘の予防を狙えます。
品質カレッジでできること
品質カレッジには ISO9001 関連コースが整備されており、力量管理に必要な「品質マネジメント基礎/文書化要求/内部監査/力量と教育」の各テーマを動画と確認テストで学べます。視聴履歴・確認テスト結果・修了証は CSV で出力でき、ISO 監査員が求める力量証跡として整理しやすい形式で出力できます(提出時は自社規程・審査機関の要求に合わせてご確認ください)。
教育訓練記録キット(無料)には、力量マトリクス・教育計画・有効性評価のテンプレが揃っており、契約前から自社用にカスタマイズしてご利用いただけます。
品質カレッジで「教育の仕組み化」を始める
品質カレッジは、49コース・確認テスト約11,400問を年33000円(税込/1ID)でご利用いただける、製造業向けの品質教育eラーニングです。視聴履歴・教育訓練記録・修了証発行までを1つのLMSで管理できます。