品質カレッジ

品質管理の用語50語を、現場目線で平易に解説

ISO・GMP・HACCP・QC手法・監査改善まで、製造現場でよく出る用語を「結局なに?」「現場でどう使う?」の2点に絞って整理しました。新人教育、社内勉強会、監査前の調べ物にお使いください。

1. ISO関連 10語

国際標準化機構(ISO)が定めるマネジメントシステム規格は、業界をまたいで共通言語になります。まずは「何を管理する規格か」を一言で押さえると、規格番号の混乱が減ります。

ISO 9001

品質マネジメントシステム(QMS)の国際規格。顧客要求と法令を満たし、継続的に改善する仕組みを要求する。

現場tip: 「文書化された情報」は紙でもデータでも可。電子化で十分。

ISO 14001

環境マネジメントシステム(EMS)の国際規格。環境側面の特定と順守評価が中心。

現場tip: 廃棄物・水・電力の3点から「環境側面一覧」を作ると早い。

ISO 45001

労働安全衛生マネジメントシステムの国際規格。労災・ヒヤリハットを組織で減らす。

現場tip: リスクアセスメントの頻度を年1回でなく工程変更時にも回すのがコツ。

ISO 19011

マネジメントシステム監査の指針。内部監査員の力量評価や監査計画の手引き。

現場tip: 「監査員の独立性」=自部署を監査しない、が最頻指摘。

IATF 16949

自動車産業向け品質マネジメント規格。ISO 9001に部品メーカー固有要求を上乗せ。

現場tip: コアツール(APQP/PPAP/FMEA/MSA/SPC)の5点セットは必修。

ISO 13485

医療機器の品質マネジメントシステム規格。リスクマネジメント(ISO 14971)とセットで運用。

現場tip: 設計変更履歴(DHF)の保管期間は製品寿命+α、長期保管前提で。

ISO 22000

食品安全マネジメントシステム規格。HACCPの考え方をマネジメント全体に拡張。

現場tip: 前提条件プログラム(PRP)の文書化が後回しになりがち。

ISO/IEC 17025

試験所・校正機関の能力要求事項。データの正確性と技術的力量を担保する。

現場tip: 測定の不確かさ評価の事例は社内に共有資産化すると効く。

PDCAサイクル

Plan-Do-Check-Actで業務を回す改善の基本。ISO全規格の土台。

現場tip: Cが弱い職場が多い。月1回の振り返り会を仕組み化する。

リスクベース思考

ISO 9001:2015で明確化された考え方。起こりうるリスクと機会を予防的に管理する。

現場tip: リスク一覧は10件未満から始めて、四半期で更新する運用が続く。

2. GMP関連 10語

GMP(Good Manufacturing Practice)は医薬品・食品・化粧品の製造で求められる「適正製造規範」です。「人・設備・原料・方法・記録」の5点で考えると整理しやすくなります。

GMP

適正製造規範。品質を製造工程に作り込むための国際的な基準。

現場tip: 「記録の同時性」=作業と同時に記入が原則。後追い記入は逸脱扱い。

バリデーション

製造工程・設備・分析法が意図した結果を恒常的に出すことを文書で証明する活動。

現場tip: プロセスバリデーションは通常3ロット連続で再現性確認。

SOP(標準作業手順書)

誰がやっても同じ結果になるよう手順を定めた文書。

現場tip: 「動詞で始める」「写真を入れる」だけで遵守率が上がる。

逸脱(Deviation)

SOPや承認された手順から外れた事象。記録・原因究明・是正が必須。

現場tip: 軽微・重大の判定基準を先に決めておくと判断ブレが減る。

変更管理(Change Control)

原料・設備・手順の変更を事前審査・承認する仕組み。

現場tip: 「軽微な変更」も記録する文化が、後の監査で効いてくる。

OOS(Out Of Specification)

規格外結果。試験結果が規格を外れたときの調査プロセス。

現場tip: 試験室原因(操作・機器)と製造原因の切り分けを先にする。

クロスコンタミネーション

異なる製品・原料が意図せず混入すること。GMPで最重要リスクの一つ。

現場tip: 共用設備は洗浄バリデーション必須。残留限度を事前計算。

清浄度クラス

製造区域の浮遊微粒子・微生物の上限を区分(例:ISO 14644でClass 5〜9)。

現場tip: 入退室動線と更衣手順がクラス維持の9割を決める。

GDP(Good Distribution Practice)

医薬品の流通における品質保持基準。温度・湿度・追跡管理を含む。

現場tip: 冷蔵品の温度ロガーは輸送前後の校正記録もセットで保管。

データインテグリティ(ALCOA+)

記録は帰属性(Attributable)・判読性・同時性・原本性・正確性などを満たすべきという原則。

現場tip: 紙記録は鉛筆・修正液NG。ボールペン+二重線+訂正者印が基本。

3. HACCP関連 10語

HACCPは食品の危害要因を予測し、特に重要な工程(CCP)で連続的に監視する考え方です。2021年6月から日本の全食品事業者に制度化されました。

HACCP

危害要因分析と重要管理点。食品安全を製品検査でなく工程管理で担保する手法。

現場tip: 7原則12手順をテンプレで持つと初回構築が早い。

CCP(重要管理点)

危害要因を予防・除去・許容レベルまで低減できる必須の工程。

現場tip: 加熱・金属検出・pHのいずれかがCCPになる事例が多い。

CL(管理基準)

CCPで満たすべき測定可能な基準値(例:中心温度75℃1分以上)。

現場tip: CLは「測定可能・即時判定可能」が必須条件。

モニタリング

CCPがCLを満たしているかを連続的または計画的に観察・測定する活動。

現場tip: 紙の温度記録より自動データロガーの方が監査時の信頼性高い。

是正措置

CCPでCLを外れたときに製品と工程に対して取る決められた対応。

現場tip: 「逸脱時の製品の処置」まで手順書に書いていない事例が多い。

PRP(前提条件プログラム)

HACCPを成立させる前提となる衛生管理(5S・防虫・洗浄等)。

現場tip: 異物混入の8割はPRPの不備が原因。HACCPより先に整える。

OPRP

オペレーションPRP。CCPほど厳格でないが管理が必要な工程。

現場tip: ISO 22000で導入される概念。CCPとの線引きが運用の肝。

危害要因(ハザード)

生物的・化学的・物理的の3分類で食品安全に影響する要素。

現場tip: アレルゲンは化学的ハザードに分類するのが一般的。

フローダイアグラム

原料受入から出荷までの全工程を図示した文書。HACCP構築の出発点。

現場tip: 「現場確認」を必ず行う。机上の図と実工程は必ずズレる。

食品衛生7Sの5S+αの考え方ではこれを「衛生」と「清潔」を加えて整理する考え方であり、整理整頓を超えて食品事業者に求められる視点である衛生7S

整理・整頓・清掃・清潔・しつけに「洗浄」「殺菌」を加えた食品工場版5S。

現場tip: 「清潔=微生物的にきれい」と定義し直すと運用が変わる。

4. QC手法 15語

QC(Quality Control)の道具立ては、データで現状を見える化し、原因を絞り込むためのものです。「QC七つ道具」「新QC七つ道具」を中心に、現場でよく使う15語を解説します。

パレート図

不良要因を件数の多い順に棒グラフ化し、累積比率を折れ線で示した図。

現場tip: 上位2〜3項目で全体の8割を占めるのが典型(80:20則)。

特性要因図(フィッシュボーン)

結果(特性)に影響する要因を魚の骨状に整理する図。4M+1Eで分類。

現場tip: ブレストで枝を増やしすぎない。1階層10要素以内が読みやすい。

ヒストグラム

データを階級ごとに度数で表した柱状図。ばらつきの形を可視化。

現場tip: 双峰型が出たらロット混入や設備2台の差を疑う。

散布図

2変数の関係を点で示す図。相関の有無と強さを目視で確認。

現場tip: 相関係数rは|r|≧0.7で強い相関と扱うのが一般的。

管理図(Xbar-R)

平均と範囲の時系列推移を管理限界線とともに示す図。工程の安定を判定。

現場tip: 連続7点が中心線の片側=異常傾向(JIS Z 9020)。

チェックシート

調査項目を予め印刷し、現場でチェックを入れて集計する用紙。

現場tip: 「集計を後でやらせない」設計が継続のコツ。

層別

データを機械別・作業者別・時間帯別などに分けて分析する手法。

現場tip: 層別なしの平均値は嘘をつく。必ず最低1軸で割る。

工程能力指数(Cp/Cpk)

規格幅に対する工程ばらつきの比。CpkはCpに中心ズレを反映。

現場tip: Cpk≧1.33が合格目安、1.67以上で十分余裕あり。

FMEA

故障モード影響解析。設計や工程の故障を発生前に評価し優先度をつける。

現場tip: RPN(重大度×発生度×検出度)100超を優先対策が一つの目安。

ポカヨケ

人為ミスを物理的・機構的に防止する仕組み。誤り防止装置。

現場tip: 「気をつける」は対策でない。形状・色・センサで縛る。

5W1H

Who・What・When・Where・Why・Howで事象を漏れなく記述する枠組み。

現場tip: 不適合報告書はこの順で書くと監査員に伝わりやすい。

5S

整理・整頓・清掃・清潔・しつけ。職場環境管理の基本。

現場tip: 整理(要不要の区分)が一番難しく、ここで止まる職場が多い。

QCストーリー

テーマ選定→現状把握→目標→要因解析→対策→効果確認→標準化の改善ステップ。

現場tip: 「歯止め(標準化)」を飛ばすと半年で元に戻る。

標準偏差(σ)

データのばらつきの代表値。平均±3σで全体の約99.7%を含む。

現場tip: n=30未満では不偏分散を使う。Excelは STDEV.S を選ぶ。

MSA(測定システム解析)

測定システム自体のばらつき(Gage R&R等)を評価する手法。

現場tip: 製品のばらつきより測定器のばらつきが大きい例は意外に多い。

5. 監査・改善 5語

監査は「指摘される場」ではなく「気づきを得る場」です。指摘事項を再発防止に繋げる仕組みが、組織の品質レベルを底上げします。

内部監査

自組織のマネジメントシステムが規格・自社規定に適合しているかを自ら確認する活動。

現場tip: 監査員の独立性確保(自部署不可)が指摘最頻ポイント。

マネジメントレビュー

経営層が品質パフォーマンスを定期的に審査し、方針と資源を見直す会議。

現場tip: インプット項目(顧客満足・監査結果等)はISO 9001 9.3に列挙。

是正処置(CAPA)

不適合の再発を防ぐため真因を除去する処置。予防処置と組合せて運用。

現場tip: 「対象者を再教育」だけは是正でなく応急処置。仕組みに落とす。

不適合(NC)

要求事項を満たさない事象。重大/軽微/観察事項で区分するのが一般的。

現場tip: 監査指摘書は「事実・根拠規定・要求」の3点セットで記述。

継続的改善

パフォーマンスを継続的に向上させる活動。ISO全規格の中核要求。

現場tip: 大改善を年1回より、小改善を月1回回す方が定着する。

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